選手たちがピッチ上で気持ちよくプレーすることができるよう、また、大会、試合をスムーズに進行、運営するべく様々な業務に携わっている学生幹事たち。大学サッカー発展のため、日々努力している彼らもまた、選手同様に、それぞれの思いを持って、学生幹事となった。全日本大学サッカー選手権(以下インカレ)開幕を控え多忙を極める中、全日本大学サッカー連盟、関東大学サッカー連盟の幹事長を務める寺本周平さん(拓殖大)、副幹事長の染谷茜さん(東洋大)、登録部の大高由衣さん(青山学院大)の3人が、インカレへの思い、そして学生幹事を務めた4年間を振り返ってくれた。【取材・構成 石井宏美】
![学連幹事を務める左から寺本周平さん(拓殖大)、染谷茜さん(東洋大)、大高由衣さん(青山学院大)]()
学連幹事を務める左から寺本周平さん(拓殖大)、染谷茜さん(東洋大)、大高由衣さん(青山学院大)
――今月14日からインカレが開催されますが、具体的にどのような取り組みを行われているのでしょうか?
大高 決勝当日、国立競技場に3万人動員する「3万人プロジェクト」を行っておりますが、今大会は国立競技場改修前最後の決戦ということで、決勝当日のイベントや大学生の輪でたくさんの人を集客しようという取り組みをし、昨年以上の動員を目指しています。
――そういった目標を掲げる中で、実際に3万人を動員する大変さ、難しさを感じることもあると思います。
大高 目標は大きくということで、「3万人を目指そう」ということになったのですが、まず、大体これくらの人数に声をかければ、これくらいは集まるだろうという計算をしていても、実際はその半分ほどしか集まらないのが現状です。本当に3万人動員を目指すのであれば、その倍となる6万人程度の方々に声をかけなければ、実際に足を運んでいただくこと難しいなと痛感しましたね。また、今年はプロジェクト3年目ということで、1,2年目の反省点をいかしながら、多方面でのプロモーション活動に力をいれています。
![関東大学サッカー連盟副幹事長の染谷茜さん(東洋大)]()
関東大学サッカー連盟副幹事長の染谷茜さん(東洋大)
――すでにホームページやSNSを利用し、様々なプロモーションを行っていますが、詳しく教えてください。
大高 まず、Facebookでは質問コーナーを設けているのですが、これは今年から行っている新しい取り組みの1つでもあります。
寺本 また、活動の場を広げ、J1リーグの東京や川崎Fのホームゲームの際に会場でインカレのチラシを配布させていただきました。
大高 さらに、高校サッカー選手権大会、千葉県、東京都、神奈川県大会決勝の会場では、インカレのチラシとサポーターズクラブの会報を配布したのですが、これも、実は今年が初の試みでした。
――年末は様々なスポーツイベントが集中していますが、そのような状況の中で、どんな部分をアピールしていきたいと考えていますか?
寺本 例えば、年末から開催される高校サッカー選手権と大学サッカーだと、高校サッカーの方が知名度が高いことは、僕たちも理解しています。そういった面で、観客動員で最も大事なるのが、各大学サッカー部の部員、スタッフの紹介などが大切になってきます。そこで、私たち学生幹事に加え、各大学に担当者を設け、ミーティングを開催しました。大学サッカーは、何もせずに観客が集まるという状況ではないので、動員部分を軸に考えながら、プラスαの要素として、告知チラシを配布したり、Facebookでプロモーションを行っているのが現状です。
――動員の難しさを感じながらも、リーグ戦含め、学生主体で運営することで、自分たちが作りあげているという手ごたえや、楽しさも感じられるのでは。
寺本 大学サッカーは、学生主体で運営していますが、まずそれが高校サッカーとのお大きな違いです。なかには、学生幹事を担当しながら、サッカー部の部員として頑張っている者もいますが、そういったところで、各々が責任感を持って臨んでいるのは(高校との)大きな差。運営している側の人間ですので、常に中立の立場を保たなければなりませんが、そういった場面で、円滑に運営が進み、なおかつ多くの方が足を運んでくださったときには、達成感を感じることもあります。
![全日本大学サッカー連盟、関東大学サッカー連盟の幹事長を務める寺本周平さん(拓殖大)]()
全日本大学サッカー連盟、関東大学サッカー連盟の幹事長を務める寺本周平さん(拓殖大)
――インカレに向け、日々多忙を極めていると思いますが、そもそも、みなさんが学連の仕事を始めようと思ったきっかけは?
寺本 最初はサッカー部員として入部し、1年間プレーヤーとして練習や試合に出場していました。しかし、その中で、自分のプレーヤーとしての技術不足を痛感し、一度、部活自体を辞めようと考えました。しかし、一方では、これまで続けてきたのに、ここでやめてしまったらもったいないという気持ちも。いろいろ悩んでいる時期に先輩を通じ、大学サッカー連盟の存在を知り、学生幹事になりました。最初の頃は、何をしていいのか全く分からず、ただ事務所に来て少し仕事をして帰る…その繰り返しで、気持ちも中途半端な感じでしたね。しかし、ある時、「どうせやるのであれば、しっかりとやろう」と心を入れ替え、学連の仕事を向きあう中で次第に幹事長をやりたいという気持ちが芽生えたのです。
――幹事長をやりたいと思ったのは?
寺本 まず、学生幹事の仕事を頑張ろうと思ったのは、ある時、プレーヤーとして頑張っていた先輩と会話をする中で、先輩の真摯に取り組む姿を見て、自分は果たして同じような姿勢で臨んでいたかということに疑問を抱いたからです。また、幹事長になったのは、自分たちの代で決めなければならない状況になった際に、自分が成長するためのチャンスだなと思い、最初はためらいましたが、就任することとなりました。
――副幹事長を務める染谷さんは?
染谷 私はまず、将来的にサッカー関係の仕事に就きたいという気持ちが強かったんです。高校時代はマネージャーを務め、その時に大学サッカーを見る機会があったのですが、学生が運営しているということで興味を持ち、大学進学の際も、関東24大学の中から選択することを考え、東洋大に入学しました。1年生の後期から(学連に)入り、現在に至っています。大学でもマネージャーを務めていたので、両立も厳しく、何度も辞めたいと考えたこともありましたが、‟チームを支えたい”という気持ちも強く、また、学生幹事を辞める選択もなく、4年間両立させてきました。
――副幹事長になったのは?
染谷 4年生になった時に、幹事長の推薦で副幹事長を務めることになったのですが、3年次とは異なり、上に立って初めて見えてくる問題や、つらいことも経験しましたが、「大学サッカーをもっとよくしたい」という思いもあり、続けられていますね。14日から始まるインカレは集大成の大会でもあるので、力を入れて取り組みたいという気持ちがとても強いです。(後編に続く)
第62回全日本大学サッカー選手権大会
【日程】
1回戦 12月14日(土)、15日(日)
味の素スタジアム西競技場
厚木市萩野運動公園陸上競技場
Shonan BMW スタジアム平塚
2回戦 12月18日(水)
味の素フィールド西が丘
江戸川区陸上競技場
江東区夢の島競技場
Shonan BMWスタジアム平塚
準々決勝 12月20日(金)
相模原麻溝公園競技場
Shonan BMWスタジアム平塚
準決勝 12月22日(日)
味の素フィールド西が丘
決勝 12月25日(水)
15:00キックオフ
国立競技場
【入場料】
一般 1,000円(800円)
高校生以下無料
※()内は前売り料金
【出場校】
札幌大、仙台大、専修大、早稲田大、明治大、国士舘大、筑波大、北陸大、東海学園大、中京大、愛知学院大、大阪体育大、阪南大、関西学院大、関西大、広島修道大、高知大、鹿屋体育大、宮崎産業経済大、福岡大(以上、各地域リーグ上位チーム)、流通経済大(総理大臣杯優勝チーム)、IPU・環太平洋大(プレーオフ勝利チーム)、新潟経営大(プレーオフ勝利チーム)
【決勝当日イベント】
●エスコートキッズ、フラッグベアラー
●「I PLAY FOR…」写真展
●スペシャルライブ 歌手:YU-A
●Jリーグ内定者イベント
●東日本大震災支援ブース
【全日本大学サッカー連盟ホームページ】
http://www.in-colle.com/
I PLAY FOR…企画
![「I PLAY FOR…」は、インカレのプロモーションの一貫として、5、6年前から始まった企画。5年、10年先も、その思いがつながり、続いていってもらいたい企画です(大高さん)]()
「I PLAY FOR…」は、インカレのプロモーションの一貫として、5、6年前から始まった企画。5年、10年先も、その思いがつながり、続いていってもらいたい企画です(大高さん)
※写真は昨年度の「I PLAY FOR PHOTO BOOK」